アメリカの2025年後半の自動車輸入台数の予測をみてみた。自動車として、HSコードは8703とし(中古車含む)、関税の影響をみるために、2021年1月~2024年12月を学習データとして、2025年1月~12月を予測してみた。
2021年1月~2025年7月までの実輸入台数の平均は712千台/月、標準偏差11千台、中央値は709千台/月、最大値は878千台/月、最小値は499千台であった。
2021年1月~2025年7月 アメリカの自動車輸入台数(千台/月)基本統計量
- 平均 : 711.51
- 標準誤差 11.05
- 中央値 (メジアン) 709.00
- 最頻値 (モード) 706.00
- 標準偏差 81.96
- 分散 6717.77
- 尖度 -0.57
- 歪度 -0.24
- 範囲 379.00
- 最小 499.00
- 最大 878.00
excelの予測シートでの予測では(季節性12ケ月とした)、2025年1月の735千台/月から12月には765千台/月まで、徐々に増加していく予測となっている。95%信頼区間は、時系列データなので、予測が先になるほど、ばらつきは増加し、2025年1月には±86千台/月であるのが、12月には167千台/月とバラつきが大きくなる予測。時系列データなので、予測は難しく、あくまで一つの予測例であるが、非常に興味深い点として、2024年12月までを学習データとして予測した場合(つまり、関税がないという前提での予測)、2025年1月~12月の輸入台数は増加傾向となる予測であるが、現実は、減少しており、その差が関税の影響と考えられる。予測値との差は、4月が228千台/月、5月は140千台/月、6月は145千台/月、7月は129千台/月であるので、おおよそ140~200千台の減少が関税の影響と推測できる。
2021年1月~2025年7月実自動車月次輸入台数(千台)と2025年1月~2025年12月予測台数(千台)

平均絶対誤差(MAE): 43.23、平均絶対スケーリング誤差(MASE): 0.78、二乗平均平方根誤差(RMSE): 51.70
2024年1月~2025年7月実輸入台数(千台)、予測台数、95%信頼区間、実輸入台数と予測台数の差(千台)

ちなみに、pythonのpycaretで同様のデータで分析すると、モデル探索では、naiveモデルが一番誤差が少ないとの結果になった(平均絶対誤差(MAE): 46.14、平均絶対スケーリング誤差(MASE): 0.85、二乗平均平方根誤差(RMSE): 52.61)。naiveなので、単に2024年12月の値(727千台/月)を2025年1月~12月の予測台数としているだけであるが、これは、2021年1月~2024年12月の輸入台数の推移がランダムウオークという判断の元、naiveが一番誤差が少なるという分析結果を返したためではないかと思われる。
いずれのモデルでも、2025年1月~12月は、700千台真ん中から後半あたりを中心にばらつくとの結果であり、実輸入台数は600千台前半まで落ちているので、やはり200千台/月ほどが関税の影響で減少していると推測できる。
Pycaretによる予測(naive)

*時系列データ予測は複雑で難しく、これらはあくまで一つの分析例としてお考え下さい。
【注記】
データの引用元は、ITC (U.S. International Trade Commission)。
輸出額は、ITC データベースの輸出合計 (Exports: Total)。
輸入額は、後日、関税率などを算定すること等もあり、一般輸入額 (Imports: General)ではなく、消費用輸入額 (Imports: Consumption)の関税評価額(Customs Value)を引用している。
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