アメリカの2025年前期(1月~6月)の関税額、関税率をみてみた。2025年4月までの関税額、関税率は、【アメリカ 関税額、関税率 2025年4月】を参照のこと。平均関税率は、算定関税額(Calculated Duties)(百万ドル)をCIF輸入額(CIF Import Value)(百万ドル)で単純に割ったものとして推定した。
まず、算定関税額(百万ドル)は、2025年3月に130億ドルと2月の68憶ドルから92%の増加後、4月、5月も大幅に増加し、5月には242億ドルにまで達した。6月は輸入額が減少したこともあり、5月から2.3%減少し、236億ドルとなっている。
2024年1月から2025年6月 算定関税額(百万ドル)の推移

次に、CIF輸入額(百万ドル)と平均関税率(%)をみてみると、2025年6月のCIF輸入額は、5月の2,807億ドルから、2,655億ドルと5%減少している。月次の平均関税率は、2025年2月までは約2.2%で横ばいであったのが、3月に3.7%、4月に6.9%、5月に8.6%、6月に8.9%と増加し続けている。
2024年1月から2025年6月 CIF輸入額(百万ドル)と平均関税率(%)の推移

2024年1月から2025年6月 CIF輸入額(百万ドル)、算定関税額(百万ドル)と平均関税率(%)の推移

2024年と2025年の前期(1月~6月)の小計を比較してみると、CIF輸入額では2025年前期は12.3%増加、算定関税額は、2024年前期の360億ドルから161%増加し、939億ドルに達している。また、平均関税率は、2024年前期の2.2%から5.2%と133%増加している。
2024年前期と2025年前期(1月~6月) CIF輸入額(百万ドル)、算定関税額(百万ドル)と平均関税率(%)の変動状況


次に国別でみてみると、中国の平均関税率は、2024年通年では10.3%であったのが、2025年5月には45.3%、6月には37.7%と急激に増加している。日本は、2024年通年平均関税率が1.5%であったのが、2025年5月には13.7%、6月には15.4%まで増加している。
2024年通年、2025年前期(1月~6月) 主要国の平均関税率(%)の推移

2024年、2025年前期(1月~6月) 主要国のCIF輸入額(百万ドル)、算定関税額(百万ドル)、平均関税率(%)の推移

主要国の2024年前期と2025年前期(1月~6月)の平均関税額(前期小計の平均関税率)の比較では、中国が2024年の10.7%から24.2%と125%の増加(関税額では202億ドルの増加)。日本は1.5%から7.0%へ373%へと大幅に増加(関税額では43億ドルの増加)しているが、最も増加率が大きかったのは韓国の2,926%で、これは2024年が0.2%であったものが、2025年に5.1%になったために変動率でみると圧倒的に大きくなっている(関税額では33億ドルの増加)。また、メキシコ、カナダも2024年までは0.2%、0.1%とほぼ関税率がゼロであったのが、それぞれ、2.8%(関税額では69億ドルの増加) 、1.3%(関税額では25億ドルの増加)となったために変動率は1000%を超える大幅増加となっている。
2024年、2025年前期(1月~6月)平均関税率(前期小計の平均関税率)(%)の比較

2025年前期(1月~6月)の算定関税額小計でみると、中国が45%と全体のほぼ半分を占めており、結局は、中国との貿易をどうするのかということに行きつく。
2025年前期(1月~6月) 算定関税額小計(百万ドル) 国別割合

【注記】
データの引用元は、ITC (U.S. International Trade Commission)。
輸出額は、ITC データベースの輸出合計 (Exports: Total)。
輸入額は、後日、関税率などを算定すること等もあり、一般輸入額 (Imports: General)ではなく、消費用輸入額 (Imports: Consumption)の関税評価額(Customs Value)を引用している。
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