トランプ新政権は、中国に10%の関税を掛けていくことを決定した。メキシコ、カナダ向け関税は一旦保留になったが、対中国も交渉の条件なのか、それとも実際に貿易赤字の解消(=製造業のアメリカ回帰への誘導)を図っていくのか注視が必要。そこで、アメリカと中国間の貿易収支、特に、アメリカから見た貿易収支赤字、黒字のトップ10分野詳細をHSコード4桁でみてみた。
2024年11月末までの貿易収支総計は、マイナス2,623億ドル。分野詳細として、アメリカからみて貿易収支赤字分野トップは、電話(スマートフォン含)(HSコード:8517)のマイナス451億ドル、次いで、自動データ処理機械(要はパソコン)(HSコード:8471)のマイナス322億ドル、そして、蓄電池及びその部品(HSコード:8507)のマイナス149億ドルと続く。トップ10の中で7品目が消費者に直結する消費財であり、これらに10%の追加関税を掛けると、すぐに物価に反映されると思われる。特に、トップのスマートフォンは、要はiphoneであり、それにも関税を掛けるのか、という問題である。
一方、アメリカからみて貿易収支黒字分野トップは、大豆(HSコード:1201)の110億ドル、ついで、航空機(HSコード:8800)の102億ドル、そして、集積回路(HSコード:8542)の69億ドルと続く。今でも半導体関連の輸出が多いことに驚いた。中国としては、報復関税を掛けるとすると、これらへの影響が大きくなるが、これらをどの程度まで国内調達に切り替えられるのかが、ポイントの一つと思える。
2024年11月末までの、アメリカからみた対中国、貿易収支の赤字、黒字トップ10分野(百万ドル)

2022年、2023年、2024年11月末までのアメリカからみた対中国、貿易収支の赤字、黒字トップ10分野(百万ドル)


【注記】
データの引用元は、ITC (U.S. International Trade Commission)。
輸出額は、ITC データベースの輸出合計 (Exports: Total)。
輸入額は、後日、関税率などを算定すること等もあり、一般輸入額 (Imports: General)ではなく、消費用輸入額 (Imports: Consumption)の関税評価額(Customs Value)を引用している。