トランプ大統領の最も重要な政策の一つが「アメリカで製造しないなら、高関税を掛ける」というものである。ただ、労働力コストを考えた場合、関税を払ってでもアメリカで製造するよりリーズナブルということもあり得る。そこで、平均の製造業月額コスト(収入)を上位100ケ国に関してみてみた。
一番高いのはルクセンブルグの8,460ドル、アメリカは5,912ドル、そして、最初の関税の対象になっている3ケ国、カナダ4,191ドル(対アメリカ比71%)、中国833ドル(対アメリカ比14%)、メキシコ521ドル(対アメリカ比9%)と、中国で7倍、メキシコにいたっては10倍の差がある。もちろんハイテク機器から消耗品まで産業によって大きく違うと思うが、単に関税が高いからアメリカに回帰といった単純な話ではないと思える。例えば、中国依存の著しい携帯、スマートフォン、タブレットなどの製造をアメリカに戻したとしたら、とても現在の価格を維持できるとは思えず、アメリカ回帰ではなく、中国以外の関税の低い国に移転というのが現実的ではないかと思える。もちろん技術力が必要なので、非常に限られた国になってくると思われるが、韓国や日本は可能性ゼロではないと思える。ちなみに日本は2,687ドル(2021年時点)(対アメリカ比45%)と全体の中で29位と過去のデフレもあり、他国と比較してコスト的に高くない状況。
コストの低い国として、インドは195ドル(対アメリカ比3%)、ミャンマーは、171ドル(対アメリカ比3%)。
主要国の製造業、平均月額コスト(収入)(ドル)

主要国の製造業、平均月額コスト(収入)と対アメリカ比(ドル)

*100ケ国リストは以下をクリック

(データ出典:ILO)