ウクライナとの協議がどうなるのか世界が見守っているが、アメリカのロシアとの2025年前期(1月~6月)の輸出入、貿易収支をみてみた。
2024年通年のアメリカのロシアへの輸出額は5億ドル、輸入は29億ドル、貿易収支は24億ドルの赤字。2025年前期(1月~6月)の小計でも、輸出額が3億ドル、輸入が25億ドル、貿易収支が22億ドルの赤字となっている。経済制裁の中、輸入額を大きいとみるか、小さいとみるかは立場により異なると思える。ただ、言えることは、2025年前期(1月~6月)で、すでに2024年通年に近い額になってきており、2025年に入って輸出入額が増加している。他国含めたアメリカの輸出入、貿易収支は【アメリカ 2025年前半(1月~6月) 輸出入、貿易収支(国別)】参照。

月次でみてみると、2025年前期(1月~6月)では、アメリカからロシアへの輸出で平均9.0%増、輸入は平均14.8%増と、輸出入とも増加しており、貿易赤字は平均で16.0%と、大幅に増加している。

アメリカのロシアからの輸入を2025年前期(1月から6月までの小計)の品目別でみると、化学工業生産品が17億ドル(70%)でほぼ全てと言える状況。これらは具体的には、ウラン(HSコード:2844)、窒素肥料(HSコード:3102)、カリ肥料(HSコード:3104)などであり、特にウランは、2025年に入り急激に輸入が増加している。ウランに関して、バイデン政権時に輸入額を減少させていく施策となったが、現時点では、それらが明確には表れておらず、アメリカは背に腹を変えられず、首根っこをつかまれている状況だとすると(中国からのレアアースのように)、様々な影響がでてもおかしくないと思える。
2025年1月~2025年6月小計 アメリカのロシアからの輸入品目別割合


2025年1月から6月までのアメリカのロシアからの輸入小計を品目別の貿易収支でみると、化学工業生産品(ウランなど)が16億ドルの赤字で、赤字額全体の74%を占めている。それ以外は、ほぼゼロと言える状況。一方、アメリカからの輸出もほぼゼロの状況。

2024年1月~2025年6月 アメリカのロシアとの輸出入、貿易収支推移(百万ドル)

【注記】
データの引用元は、ITC (U.S. International Trade Commission)。
輸出額は、ITC データベースの輸出合計 (Exports: Total)。
輸入額は、後日、関税率などを算定すること等もあり、一般輸入額 (Imports: General)ではなく、消費用輸入額 (Imports: Consumption)の関税評価額(Customs Value)を引用している。
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