中国の2025年通年の輸出入、貿易収支のデータが公表されているのでみてみた。データは、General Administration of Customs of the People’s Republic of Chinaからの引用(*為替、集計方法が異なるので、アメリカや日本の統計数字とは異なる。特に、中国から見ると、対日本貿易収支は赤字であるが、日本からみると逆で、対中国貿易収支が赤字。これは、香港や台湾の数字の扱いの違いであるが、本記事では、中国政府の数字をそのまま引用していることに注意)。
2025年の中国からの輸出額は3兆7,718億ドルで、2024年から5.4%増。2025年の輸入は2兆5,829億ドルで、2024年から0.1%減。2025年の貿易収支は1兆1,889億ドルの黒字で、2024年から19.8%の大幅増。繰り返しになるが集計方法が違うので、中国政府の数字でいくと、輸出を伸ばし、輸入を減らし、貿易収支を大幅に増加させるという、アメリカとの貿易摩擦にかかわらず、非常に良い結果となっている。


対アメリカ輸出入、貿易収支でみると、2025年の中国からアメリカへの輸出額は4,201億ドル、2024年からの変動額は1,046億ドル減(マイナス19.9%)という大幅減少。中国のアメリカからの2025年の輸入額は1,397億ドルで、2024年からの変動額は239億ドル減(マイナス14.6%)とこれも大幅に減少。その結果、貿易収支は、2024年の3,610億ドルの黒字から、2025年は2,804億ドルと、807億ドル(マイナス22.3%)と大幅に縮小している。
2024年、2025年 中国からアメリカへの輸出入、貿易収支推移(百万ドル)

中国とアメリカ間の輸出入は、2025年には大幅に減少しているが、2025年の中国から各国への輸出割合をみると、アメリカ向けが11%で、まだトップで、次に、香港向け(9%)、そして、ベトナム向け(5%)、日本向けの4%と続く。非常に特徴的なこととして、極端に、特定国に依存しておらず、世界各国に均等に輸出していることがあげられる。実際、アフリカ諸国を含む、その他が全体の20%にも達しており、非常に分散している構造がみてとれる。

輸出でみると、2024年の対アメリカ輸出は15%であったのが、2025年には11%まで減少し、減少額としては1,046億ドルという巨額に上る。それにも関わらず、貿易収支では大幅に増加している。そこで、2024年、2025年の中国からの輸出額変動を地域毎にみてみると、アメリカを含む北米で1,032億ドルの減少。しかし、それを上回る1,817億ドルを対アジア諸国向け輸出で補っていることが分かる。つまり、アメリカでの減少分をアジアに振り分けたといえる。また、アフリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカ向け輸出額も増加しており、アメリカ依存をうまく減らしていっている状況といえる。

2024年、2025年の中国からの輸出、輸入額変動を変動率で散布図にしてみると(縦軸は輸入額変動率、横軸は輸出額変動率)、アフリカ向けが輸出、輸入とも大きく伸びている。ヨーロッパ、オセアニアは輸出が増加しているが、輸入は減少しており、ここでもアメリカでの減少分を補っていることが分かる。

2025年 中国からの輸出先(地域別)(百万ドル)

2024年、2025年 中国からの輸出入、貿易収支推移(地域別)(百万ドル)

2024年、2025年 中国からの輸出入、貿易収支推移(主要国別)(百万ドル)

これらのデータが正しいとすると、アメリカと違い、中国は水面下で静かに構造変更を進め、それが現時点では功を奏しているといえそうである。
(データ:General Administration of Customs of the People’s Republic of China)
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