日経新聞などで、中国がアメリカからの大豆輸入を減らし、依存度を低めるとともに、関税撤廃の交渉の一つの手段として使っているという記事がいくつか出ているが、実際のアメリカからの大豆輸出量推移をみてみた。
2025年7月のアメリカからの大豆輸出額は、761百万ドルで、6月の654百万ドルより16%増加しており、一見順調に見えるが、中国への輸出額は、6月に続きゼロであった。大豆輸出は季節変動が大きく、毎年4月~8月は輸出額が減少する。
2021年1月から2025年7月 アメリカの大豆輸出額(千ドル)

2021年~2025年の1月~7月の小計でみると、2024年から2025年同時期比で、2,436百万ドル減少(23.3%減少)しており、2022年以来輸出額は減少傾向にある。
2021年(1月~7月小計)~2025年同時期 アメリカ輸出額推移(千ドル)


次に、2025年1月~7月小計を国別でみると、以前、中国が2,462百万ドル(31%)でトップであるが、これは、5月までの小計が大きいからで、5月、6月のように輸出額ゼロが2025年後半まで続くと、大幅に割合は減少していくと思われる。中国の次はメキシコ向け輸出の1,096百万ドル(14%)、そして、エジプト向けの742百万ドル(9%)と続く。日本向けは598 百万ドル(7%)で4位となっている。
2025年1月~7月小計 アメリカからの大豆輸出額、国別割合

2021年1月~2025年7月 アメリカからの主要国への月次輸出額(千ドル)推移

2021年~2025年 アメリカから主要国への輸出額(千ドル)

1月~7月小計を2024年と2025年で比べてみると、全体では2,437百万ドル減少しており、中国への輸出額は2,604百万ドル(51.4%減)と全体減少額より大きく、他国への輸出額が167百万ドル増加したことで少し補っている。もし、このまま2025年終わりまで中国への輸出額がゼロが続くと、最大で10,174百万ドル減少する可能性もあり、アメリカの大豆農家にとっては死活問題になってくると思われる。そのために、日本を含めた他国が輸入を増やすように、圧力がさらにかかってくることが予測される。
2021年(1月~7月小計)~2025年同時期 アメリカから中国への輸出額(千ドル)推移

2024年1月~7月小計と2025年同時期との輸入額の差(千ドル)


【注記】
データの引用元は、ITC (U.S. International Trade Commission)。
輸出額は、ITC データベースの輸出合計 (Exports: Total)。
輸入額は、後日、関税率などを算定すること等もあり、一般輸入額 (Imports: General)ではなく、消費用輸入額 (Imports: Consumption)の関税評価額(Customs Value)を引用している。
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