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アメリカ 実質GDP 2025年Q1 -0.3%成長率(内訳)

アメリカの2025年第1四半期(Q1)の実質GDP成長率が、マイナス0.3%であったことで大きな衝撃が走っているが、その内訳についてみてみた。

まず、過去4年間(2021年Q2~2025年Q1)の実質GDP成長率の推移では、2021年はコロナ禍からの回復で大きく上昇、一旦2022年Q1でマイナス1.0%と落ち込むが、その後は、2%後半から3%あたりで安定して成長していたが、2025年Q1で3年ぶりにマイナス成長となった。

過去4年間(2021年Q2~2025年Q1)の実質GDP成長率の推移

次にマイナス0.3%の内訳(貢献度)をみてみると、個人消費がプラス1.21%、国内投資がプラス3.6%、輸出がプラス0.19%、輸入がマイナス5.03%、連邦政府支出がマイナス0.33%、州政府支出がプラス0.08%と、駆け込み輸入が成長率を阻害している。一方、個人消費と国内投資が増えているので、輸入の影響は一時的で、一見、消費、投資は堅調と見えるかもしれない。

2025年Q1の実質GDP成長率の各分野内訳(貢献度)(%)

しかし、さらに詳細をみていると、個人消費の中で車や家財などの耐久消費材はマイナス0.26%で伸びていない。消費をけん引しているのはヘルススケアなどのサービスで、実質的には、買い控えの前兆ではないかと思える。また、3.6%と大きく成長しているように見える国内投資も設備投資分は、1.34%で、たしかに前期のマイナス0.20%からは成長しているが、投資をけん引しているのは在庫の2.25%で、これは駆け込み輸入などでの在庫積み上がり分と思え、実質的な投資とはいいがたいと思われる。一方、輸出は0.19%でほとんど伸びていない一方、輸入はマイナス5.03%と大きく増加(特に”もの”の輸入がマイナス4.79%)している。また、連邦政府の予算カットなどで、連邦政府支出はマイナス0.33%となっている。

2025年Q1の実質GDP成長率の各分野内訳(貢献度)詳細(%)

(データ:Bureau of Economic Analysis