今の世界を知る "元の" データ集 / 統計分析、因果推論

鉄鋼、アルミへの25%関税

トランプ新政権は、全ての鉄鋼、アルミへの輸入に対して25%の関税を掛けるとしているが、その概要をみてみた。

具体的に、どのHSコードに関税をかけるのが不明であるが、仮にすべての鉄鋼(HSコード:72)、鉄鋼製品(HSコード:73)、アルミ及びアルミ製品(HSコード:76)とすると、2024年における輸入総額は1,077億ドル。内訳としては、鉄鋼(HSコード:72)が317億ドル(29%)、鉄鋼製品(HSコード:73)が496億ドル(46%)、アルミ及びアルミ製品(HSコード:76)が266億ドル(25%)で、貿易収支としては、総額でマイナス507億ドルであった。もし、2024年の輸入額にそのまま25%関税がかかるとすると、その額は269億ドルとなる。

2022年~2024年 鉄鋼、鉄鋼製品、アルミ及びアルミ製品の輸出入、貿易収支及び25%関税想定額(百万ドル)

2022年~2024年 鉄鋼、鉄鋼製品、アルミ及びアルミ製品の輸出入、貿易収支(百万ドル)

2024年 鉄鋼、鉄鋼製品、アルミ及びアルミ製品輸入額内訳

国別でみると、2024年に輸入額が一番多かったのは、カナダの245億ドル(貿易収支マイナス99億ドル)、次いで、中国の153億ドル(貿易収支マイナス139億ドル)、そして、メキシコの123億ドルと続く(貿易収支プラス69億ドル)。貿易収支では中国へのマイナス139億ドルが一番大きく、次いで、カナダのマイナス99億ドルとなっており、今回の関税は、中国をターゲットにしていると思われる。2024年の日本からの輸入は31億ドルで貿易収支はマイナス22億ドルであり、2024年の輸入額に単純に25%かかるとすると関税想定額は7.7億ドルとなる。

輸出先で一番はメキシコの192億ドルで、輸入上位10ケ国中唯一、貿易収支が黒字(プラス69億ドル)となっている。中国とは一方的に輸入額が大きいが、カナダ、メキシコとは、輸出額、輸入額双方とも大きく、これらに関税を掛けると、互いにたたき合いとなり、双方が傷つくだけとも思える。

2022年~2024年 鉄鋼、鉄鋼製品、アルミ及びアルミ製品、国別輸出入、貿易収支状況(百万ドル)

2024年 国別輸入額一覧 (*区別しやすくするために輸入額は対数をとっている。黄色:輸入額大 ⇔ 濃い紫色:輸入額小)

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【注記】
データの引用元は、ITC (U.S. International Trade Commission)。
輸出額は、ITC データベースの輸出合計 (Exports: Total)。
輸入額は、後日、関税率などを算定すること等もあり、一般輸入額 (Imports: General)ではなく、消費用輸入額 (Imports: Consumption)の関税評価額(Customs Value)を引用している。