4月4日に中国は関税への対抗処置として、レアアースの輸出管理(実質的な禁止)を打ち出しているが、アメリカでの過去からの輸入状況をみてみた。
4月4日に発表された7種類のレアアースは、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの7種の中・重希土類レアアースの関連品目(正式発表文書)
輸入状況をみるために、中国政府の発表している10桁のHSコードをITCデータベースに入れてみたが、うまくマッチせず、共通6桁のHSコード(280530)でのアメリカの輸入状況をみたので、正確に対象品目の輸入額ではないが、概要はつかめるのではと思える。
2024年の輸入量は80トンで、2023年の400トンから大幅に減少している。間違いかと思い、見直したが、やはり80トンまで落ちている(もし間違っていたらご指摘ください。違うHSコードで輸入されている可能性もあるので、再度精査が必要と思っている)。レアアースの需要が減ることはないと思うので、他の物質にシフトさせたのか、もしくは、政治的に意図的に落としたのか。もしそうなら、アメリカは事前に準備をしていたことになり、バイデン政権時の政策ということになる。また、今回中国が禁止したとしても影響は少なく、これも中国が、分かって摩擦を最小限にするために行ったのか、、、
2020年~2024年 アメリカのレアアース(HSコード280530)の輸入量(kg)状況

輸入国を見てみると、ほぼ中国からの輸入に頼っている。注目すべき点として、2020年にはロシアからの輸入が8%あったが、2022年のウクライナ侵攻以降、ゼロになっていること、さらに、2023年には中国からの輸入が99%であったのが、2024年には85%まで落ちており、中国以外の国からの輸入にシフトしている点。シフトした国はカナダとイギリスが出てきている。
2020年~2024年 アメリカのレアアース(HSコード280530)の輸入量(kg)国別割合

2020年1月~2025年2月までの中国からの月次輸入量(kg)をみてみると、やはり明らかに2024年から激減しており、2025年1月は1,885kg、2月は1,011kgとなっている。
2020年1月~2025年2月 アメリカのレアアース(HSコード280530)の中国からの月次輸入量(kg)

また、アメリカの平均輸入単価(ドル/kg)の推移をみていると、2020年には29ドル/kgであったのが、2024年には56ドル/kgと倍以上に高騰している。
2020年1月~2025年2月 アメリカのレアアース(HSコード280530)の平均輸入単価(ドル/kg)

【注記】
データの引用元は、ITC (U.S. International Trade Commission)。
輸出額は、ITC データベースの輸出合計 (Exports: Total)。
輸入額は、後日、関税率などを算定すること等もあり、一般輸入額 (Imports: General)ではなく、消費用輸入額 (Imports: Consumption)の関税評価額(Customs Value)を引用している。